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佐藤 治夫
PNC TN8410 97-075, 29 Pages, 1997/04
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価において,深部地質環境における酸化還元条件は,還元性と考えられており,酸化還元条件に鋭敏な元素の1つであるSeは,条件によって価数が変化することが知られている。しかしながら,ベントナイト中のSeの拡散に関して還元条件下で研究された例は未だ見られず,実験的証拠が不足している。本報告では,ベントナイト中のSeの見掛けの拡散係数をベントナイト密度をパラメーターに還元条件下にて取得すると共に、還元条件下でのベントナイト中のSeの拡散挙動について検討した結果を記述する。Na型ベントナイトのクニゲルV1中のSeの見掛けの拡散係数を濃度プロファイル法によりベントナイト密度8001800Kg、m-3の範囲において還元条件(Ehvs.SHE-373363mV)及び室温(23.623.7)にて取得した。実験は,N2雰囲気のグローブボックス内(O21ppm)で行い,間隙水の還元条件は,酸化還元電位をモニタリングしながら還元溶液とベントナイトを焼結フィルターを介して接触させることにより維持した。また,間隙水の酸化還元電位を確認するため,圧蜜ベントナイトを介しての酸化還元電位の伝播性を還元剤Na2S2O4を用いてベントナイト密度1800Kg、m-3の試料について透過拡散法により実験的に調べた。得られた見掛けの拡散係数は6.1x10-114.3x10-10m2・s-1の範囲であり,ベントナイト密度の増加に伴って緩やかに減少する傾向が見られた。還元条件におけるベントナイト間隙水中でのSe支配化学種は,HSe-であると考えられ,ベントナイト中のHSe-の見掛けの拡散係数は,同じ電荷を取るTcO4-のそれとほぼ同じであった。しかしながら,大気条件でのベントナイト中のアクチニド元素の見掛けの拡散係数は極めて小さく,間隙水中で複雑な陰イオンの錯体を形成することが知られている。ベントナイト中でのこれらの元素の拡散挙動は,陰イオンが支配的とは言うもののTcO4-やHSe-とは異なるものと思われる。このことから,間隙水中で単純なイオンを形成し,同様な電荷を持つイオンの拡散挙動は類似しているものと考えられる。
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PNC TJ1545 94-002, 139 Pages, 1994/03
本報告は、環境中での核燃料サイクルに関連した長半減期放射性核種の分析定量法の調査研究を、昨年度に引き続き行った。最近の分析技術の現状調査では、特に63Niと79Seを付け加えた。他の長半減期核種では、昨年度調査報告を補強する形で、トリチウム、プルトニウム、テクネチウム、炭素の4元素について、環境試料での物理・化学形態別分析法に焦点を絞って調査した。また、バックグラウンド値について、トリチウムとプルトニウムについて調査を行った。更に、天然放射性核種については、系列核種間の放射非平衡が常に観測されているので、その原因研究の現状を調査しまとめた。